アウトドアショップやネット通販などで見られる、どんどん軽くて丈夫になるアウトドア製品や数年前になかった便利グッズ。
これら近年の商品開発の速度は驚くべきものだ。ドローンやアクションカムなどもその一例だと思います。
そして今後ますます旅人を助けるグッズは進化していくはずでしょう。
それでも「長期の海外ツーリング」というチャレンジのエッセンスは変わらないのではないでしょうか。
知らない風景、土地、人はもちろん、変わりゆく天候や気候、そして道。
気が遠くなるほどのアスファルトの直線もあれば、砂で道が埋もれた海岸沿いの道、みぞれが落ちる山岳道路も少なくありません。
当然のことながら、外気にさらされ続ける「バイク」という乗り物に乗れば、これらの影響は避けられなのです。
だからこそ、そういった旅の中で見出したオススメグッズはいつまでも「長期の海外ツーリング」に有効だと考えます。
二年間、東南アジア・ヨーロッパ・南アメリカを周遊して様々なシチュエーションを体験してきました。
そこで見出したオススメグッズは大げさに言えば旅の哲学というほど私にとって大切な発見です。
それをここでランキング形式にして是非紹介したいと思います。
これから海外をバイクで長期にわたって走る人、また今走っている人に是非参考にしてもらえたらうれしいです。
第10位. スロットルアシスト
なめたらアカン!一日十時間もバイクを運転するとアクセルをひねる手が疲れます、いや、ホントに。
ただひたすら同じ景色の直線とかでやることがないと意識が右手首だけに集中してより気になるんですよね。
私にこのアイテムを紹介してくれたコロンビアンライダーはこう言ってました。
「もし、バイクのオプションが一つしか選べないなら、俺はこいつを選ぶ」と。
これね、大げさじゃないから。そもそもバイクのオプションってものがそんなにないんだけど、これは本当に楽。
人体については全く詳しくないけど、右手首に力を入れるてると肩にもずっと力入ってるんだろうなって思います。
500kmとか走ると疲労度が全然違う。
ただこいつは位置の調整を間違えると知らず知らずのうちにスピードが出てたり、低速走行が難しくなるのでそれだけ注意で。
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第9位. カッパのカッパ
トンチではありません。書いて字のごとく、カッパの上にカッパを着るのがお勧めです。
安いウェアーを着てゲレンデに座っているとお尻が濡れることがありますよね。これは「耐水圧」という性能の問題です。
雨(重力のみの外力)では濡れることがない素材でもより強い力をかけると濡れてしまいます。
というのは、繊維は細かい網目になっているのでそこに無理やり入ってきちゃうんですね。
バイクで走行中の雨は相対速度が高いので、まさにこの外力を受けた状態です。
トレッキング中は濡れないくてもバイク運転後は同じカッパなのにビショビショになったりします。
バイクの運転は雨が降ると夏でも寒かったりします、寒いから早く着きたい、でも速度を上げるとますます濡れるし何より危ない。
そこで私のおすすめの対策は外側のカッパに一度雨を当てることで内側のカッパに当たる雨の勢いを落としてやる、です。
カッパの上にカッパと言ってもお高いやつをダブルで使う必要はありません、ペラッペラのやつでも一枚外に羽織ると全然違います。
私はラッシュガードという日焼け止め用の薄い長そでをいつも来てます。
暑い地域で行動するときも日焼けクリームいらずで重宝するのでだまされたと思ってこれを持ってきましょう。
ちなみに人気のゴアテックスなどお高い製品の中には耐水圧が非常に高いモデルもありますが、この性能は落ちてきます、
表面の状態が摩擦により変化するからです(疎水性の物質が濡れるかどうかは表面形状も大きく影響します)。
ゴアテックス復活の仕方!みたいなのもありますが、それを実行する道具が旅の最中に近くにないんですよね。
カッパonカッパのほうがいいと思います。
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第8位. 漏斗&予備ガスタンク
ガスが切れた時の絶望ってのは経験してみるとあんまり大したもんじゃないです。
ガスが切れそうでハラハラするあの感覚に比べたら。まぁ、完全にガス欠すると諦めも混ざってますからね。
このハラハラ感ってのはかなりの天敵です。海外で走るほぼすべての場所は初見なのでそこに気を取られたくはありません。
そこで予備のガスタンクです。マストかって言われたら怪しい、正規の燃料タンクが十分大きかったら必要ないかも。
最悪、ガスは切れてもよっぽど辺境に行かない限りは民家でストックがあったり、ヒッチハイクして次の町で入手して
そこに戻ってきたり、と別にこれ一つで旅が詰むようなことにはなりませんが、正直手間だし時間もすごくかかります。
あとビックリしたのが、お金を持っていてもガソリンを買えない地域があるってことです。
ボリビアの事実上の首都ラパスに行ったとき、ガソリンスタンドに行ったら外国人という理由でガソリンを
売ってもらえませんでした。私だけじゃなくてイタリア人ライダーもダメだったそうです。
結局現地の人に割高で隠れて売ってもらうという感じでした。その時も予備ガスを買ってよかったと思ったなあ。
あ、これは余談ですが、漏斗を持たず(かさばるのがいやで)、そのままダイレクトにガソリンを入れる剛の者を見たことがあります。
しかし、バイクの構造上、こぼれたガソリンはエンジンにそのまま降り注ぎます。
仮面ライダーの怪人のように爆発で人生を終わらせたくないなら漏斗くらい買いましょう。
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第7位. 虫よけワンプッシュ
心地よい睡眠の敵、虫 (私にとっては特に蚊)。安宿だと宿の中を元気にゴキブリが走り回っているようなところもあります。
そこでこいつの出番。一騎当千効果覿面、とにかく強力、本当に虫いなくなりますからね。ただ南京虫はわからない。
まぁ飛んでたやつが落ちてるわけじゃないからあくまで忌避剤なんだろうけど。
ちなみにそれほど強力なものをテントの中で使って自分は無事なのか?って疑問もあるでしょう。
そんな方にはこの言葉を贈ります。
「犠牲なくして勝利なし」
第二次世界大戦中にイギリスの首相を務めたチャーチルの言葉です。
つまり私はそう認識しています。でも、寝るときに羽音は耳障りなのでついついスリープッシュくらいしちゃう。
ちょっとくらいの健康被害も熟睡すればオッケーだよね?
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第6位. タイヤレバー
もうね、お世話になりっぱなし。これなしじゃもうパンクと戦えない、それくらいすっげー使いやすい。
長い距離を走ったタイヤはリムがホイールと凝着して外れにくいんです、バイク屋さんでも手こずる固さ。
そこでこのレバーを貸してあげるとあら不思議、すぐに取れます。
ボリビアではバイク屋さんに売ってくれと頼まれました(タイヤレバーの値段がパンク修理の値段をはるかに上回りました、売りませんでしたが)。
海外を走って一度もパンクしたことないという方もいらっしゃいましたが、私は十数回パンクしてます。
常に重い荷物を積載して走るため、後ろのモノサスの反発力が落ちます。
すると衝撃がタイヤに伝わりやすくなるためパンクしやすくなる、と考察しています。
でも、モノサスなんて簡単に変えられねーから!
そこでこのタイヤレバーの登場です。
ちなみに海外製のタイヤレバーは厚くて使いにくいです、これはレバーの先が薄いのによく粘るからすごく使いやすい。
晴天の昼間にパンクするばっかりじゃないからね。使いやすいのはすっごい重要。
使いにくいのだと直した筈のタイヤがレバーを噛みこんで別のところに穴が空いたりします、あぁ、絶望。
自走するけど修理にあんまり自信ないよって方、おすすめ。
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第5位. ヘッドライト
登山者にはマストアイテムですが、ライダーも例外ではありません。
登山に限らず、夜間の緊急修理やSOSにも使用できます。また世界各所で楽しめるトレッキングでは必ず使います。
明かり以外の使い方としては夜写真撮影で光の文字が書けます。
海外では仲良くなった人と思い出作りがてら遊びに行くことが多いのでそれだけでも結構楽しめます。
だからといって海外で買うと壊れやすかったり、光が弱かったりします。日の出づる国で買いましょう。
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第4位. 荷物ネット
これに似たようなものは海外で売ってますが、やはり日本製がいいです。
ボリビアなどの貧しい国だと「ないものは作る」って精神が培われていて、
バイクに荷物をくくるときは自転車のチューブを切った紐とかでやります。
別に安定性に問題はないんですが、あれ、一回一回やってると結構めんどいですよね。
別に朝出発するときと夜寝る前に外すくらいなら大したことないけど、バイクが倒れて起こそうとしたら、重くて持ち上がらない。
仕方なくいったん荷物を降ろして、なんてことが多々あります。
そういうとき、紐タイプはたぶんすごくめんどい。網タイプならすぐ外してすぐ取り付け可能。
バイクなんて倒さねーよ!って人は、ちょっとだけ考えてみてください。
日本のバイクは左側にスタンドがついています。
当たり前ですが左側通行で左側に停車した際、道路側に車体が傾かないようにするためです。
一方南米、右側通行です。じゃあ、南米のバイクのスタンドは右側についてると思うでしょ?
違うんです、左右二本ついてるんです。
理由は道がめっちゃ悪いから。日本みたいに綺麗な路肩とかないところのほうが多いです、もうね、ボッコボコ。
そんなときにお好みでスタンドが立てられる!っていうことですね。
そういう場所なので注意してても倒れることが多々あります、加えて強い風が止まない地域なんてのもあります。
倒れるものは倒れるので荷物ネット買っていきましょう。雨で濡れた装備を乾かすにもすごく便利ですよ。
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第3位. 本(思考実験)
本、具体的には思考実験という本をお勧めします。別にインテリキャラを目指しているわけではありません。
なぜか?これはですね、走ってるときに考え事をすると楽しいからです。
「何言ってんだ、コイツ」と思うかも知れませんがまぁ聞いてください。
例えばアルゼンチン、雄大な自然、気さくな白人たち、おいしい料理。もうね、最高です。
ただ問題なのは次の町まで嘘偽りなく150kmとか離れてることです。
誤解を恐れず言いましょう、暇です。それも超暇。
せっかくの海外なんだから景色を見ろ、とかいうかもしれません。
しかし、こう見えても私は写真を撮れるような場所がないか毎日、目を皿のようにして走っています、それでも、なお、暇。
この本は宿に着いた後、温かいベッドの上で一日を振り返りながら、自分のご褒美にお気に入りの本で読書を。
そんな高尚な目的のためではありません。
朝ドタバタして出発する前にサラッと目を通して今日会うかもしれないめっちゃ暇な道路の上で、
普段考えないようなことを頭の中で自炊するためのアイテムです。
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第2位. バイクカバー
これは本当にあったほうがいい。セキュリティが段違いです。
荷物を多く積んだバイクってのはとかく人目を惹きます、そしてヘルメットを取ると見慣れない黄色人種。
もうね、いたるところで注目の的。
そこでこのバイクカバーをかぶせておけば、、、あら不思議、誰も気にも留めない。
遠目から見ていて笑っちゃうくらい違います。
ちなみに日本で一昔前にバイクのシートに火をつけるいたずらが流行ったため耐火素材でできたシルバーのバイクカバーをよく見かけますが、あれはダメです。
黒色のやつにしてください、シルバーしかない人は新調してください。
理由は野宿の時のセキュリティにあります。
テントを張るタイミングは少なからずあると思いますが、シルバーのものはとにかく光をはじきます。
海外は道が悪いためか、トラックなどのライトが非常に強いです(街灯がないからそう見えるだけかもしれませんが)。
で、シルバーは光を反射してビックリするほど遠くから見えます。道路からかなり離れてもです。ダメ、ゼッタイ。
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第1位. ヘアドライヤー
私の中でキング・オブ・マストアイテム。文句なしの堂々の第一位です。
海外の広い範囲を走っていると、とにかく寒いと感じることが多々あります。
季節・緯度・海抜・天気。
一見温かいはずの熱帯や亜熱帯でも寒いと感じることは多いです(体が慣れてちょっと気温が下がると寒く感じる。)
長旅のお供は節制、お世話になりがちな安宿にはホットシャワーがついてないなんてザラです。
そうでなくても寒い雨に打たれ、凍えそうな気持で宿についたら待っていたのは水シャワー、次の日も濡れたままのジャケットや靴。
でも、安心してください。
私たちにはドライヤー先生がいるじゃありませんか!!
海外のキャンプ場にはコンセントが併設ってところも多いです。
延長コードとドライヤーのコンボで寒いテントの中を即座にあったかくできます。
これがなかったら風邪ひいてたかもってところもたくさんありました。
8月にノルウェーの北極センター近くを走った時、雨と標高が重なって外気温5度でしたね。
ホットコーヒーは300円でした、物価がカオスに高い国なので。
キャンプ場でドライヤーのスイッチを入れたとき、泣きそうになりましたね。
私は単身赴任用っぽいちっちゃくて電圧変換がついてるやつがおすすめ。
日本が設計した製品は本当にタフです。
良かれと思って言います、高くもないので長いバイク旅のお供にぜひ持ってってください。
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長期の海外ツーリングおすすめグッズたち、いかがでしたか?
ドライヤーは私の中で不動の一位なんですが、他のライダーさんに言うと「なるほど!」といってもらえます。
暑いのは走っていればいいのですが、寒いのは走れば走るほどひどくなるので、私は寒さ対策こそ必須だと感じました。
「快適さ」はマストではなくベターという方もいるかもしれません。
しかし、バイク旅では「快適さ」と「安全性」はかなり密接に関係してくると思います。
楽しいバイク旅にするために、ぜひ参考にしてくださいね。