1月12日
旅立ちの日。ミゾレが降る早朝に家を出発して成田空港に向かう。
前日にケータイ電話を失くしてしまったので電車の時間がわからない。事前にPCで検索した電車で京急成田に向かう特急へ神奈川新町で乗り換えるはずだったが、到着したのは青砥行き。強引に乗って主要駅で乗り換えて成田を目指す道もあっただろうが、ここはより確実な横浜駅発の成田エクスプレスにした。

高い・・特急でオール指定席。ちょっとした新幹線なので仕方がない。

空港第二ターミナルからAirAsiaのチェックへ向かうとそこはすでに長蛇の列だった。成田エクスプレスの選択はあながち間違っていなかったと安堵しながら順番を待つ。旅行のハイシーズンを過ぎたとはいえ、色々な層の客がいる。子連れの家族、年配の夫婦、大学生・・・ビア樽みたいなおばさんが終わって受付がにこやかに誘導してくれる。

機内持ち込み用の手荷物は6.9kg。制限は7kgなのでボクサーの減量みたいな数値で通過。家にあるアナログな体重計で測ったから心配だったけどあぶなかったー。

「機内持ち込み用のお荷物は大丈夫ですね。ただお客様のご予約は預け荷物代が含まれておりません。15kgなので6000円、トランジットなので12000円お願いします」

ヤ ラ レ タ

格安航空で22000円の片道チケットをとった。今日の最後の目的地はタイの北部にあるチェンダオという町だ。その近くにはチェンマイという大きな町があり、空港も存在するが、日本からだと首都のバンコクで国内線に乗り換える必要がある。それでワンフライト6000円の計算がかける2になって12000円というわけだ。

安いとは思ったがそういうことだったのか・・・サーチャージが入っていたので油断していた。予約画面からオプションはたしかになかったのでそういう訳ありのやつだったのだ。確認しなかった自分が悪いが、ちょっと罠っぽいと感じてしまう。

安物買いの銭失いを地でいってしまった・・・まぁ、海外の滞在で圧縮しよう。

席は窓側の羽の横。トイレにも行けず、羽が邪魔で景色が見えない。そもそも、厚い雲の上を飛ぶと雲が太陽を反射しすぎてとても窓を開けられたものじゃなかった。加えて格安航空なので前の座席にいろいろできるあのディスプレイがない。荷物もカメラがギリギリで本一冊入れてこなかった。

コイツはヤバいな、精神的に。

私はどこでも寝れるという特殊能力があるが、いつまでも寝れるという特殊能力はついていない。結局、合皮に書かれた「AirAsia」を穴が開くほど見つめて過ごした。予定の時間を大分過ぎて機内アナウンスが流れる、どうやらもうすぐバンコクに着くらしい。となりにいた日本の大学生と話をする、彼自身は短期の滞在でバンコクにずっといるらしい。

「ようやく着きますね」

お互いつらい時間を過ごしてきた同士だ。私はこのあとトランジットがあるが、彼は往復のチケットを買っていたのでまたこの飛行機に乗るんだろう。大変だなぁ。

当初1時間45分あったはずの乗り換え時間は30分を切っていた。かなりのピンチである。
格安航空には安いなりの理由がある。時間が変更されやすかったり、機内の施設が貧弱だったり、そして何より乗る場所が遠い。いやがらせとも思えるくらい歩かされる。時間に余裕があれば仏頂面で歩けばいいが、時間の関係上走らないといけない。

バンコクからチェンマイまでは国内線になる。飛行機がつけられた出口から一方向しか進めない通路で係員がボードを持って待ち構えていた。

・・・一文字も読めん。タイ語である。たぶんこの便の乗客に急げ、ということを伝えようとしているのだろう。でも、たとえば時間の変更だったら?さすがに空港は英語が通じる、聞いてみたら案の定、次の便に乗り換えるなら急いでくれということらしい。

Hurry up! Hurry up!

なぜかみんな満面の笑みである。日本だったら申し訳なさそうにするんだけど、カレーのCMに出てきそうな濃い顔が白い歯を見せて応援してくる。

あー、海外来たなー。イミグレーションは不愛想、ハローは反ってきてもほかの質問は無視。まぁ、管轄じゃないんだろうな。次の便の時間が迫っているということもあり、あっさり入国許可が下りた。目の光彩を記録するカメラをずっと見つめていたのに何も起きなかったなー。

汗を払ってバスに乗り込む。バスはもう満員で私が乗ってからすぐに飛行機に向かって出発した。ほかの乗り換え客とかはどうなったんだろう・・・いくらなんでも時間が短すぎるからひょっとしたらこの次の便を工面してもらえたのかな。そんなことを考えていたら乗るべき飛行機が待機していた。

「AirAsia」

わかってたよ、チクショウ。まぁ、それでとったんだからほかのだったりしないよね。さっき七時間ほどのったのと同じタイプにもう一時間弱揺られてチェンマイ空港に到着した。

よーーーーやく着いた。帰りはChinaAirlineくらいでなんとか用意しないとな。
空港に着いたらやることはすでに決めていた、SIMカードの入手である。

SIMカードとはケータイに入っているチップで、そいつがないと通信ができない。簡単にいうとそのチップを使うために本体代以外のお金を払っている。中身のこいつを換えればドコモでもauでも使えるかっていえばそうじゃなくてちゃんとそこは制限されてる。その制限を外してあるのがSIMフリーのケータイで、そこはちゃんと調べて日本で入手してある。だからここで買うべきはタイのSIMカードだ。

そこらへんの人を捕まえて聞いてみる。英語は通じないようなのでケータイを見せながらSIM cardの文字を見せる。

%a”33asdf=a Chinese?

しかめ面の男に聞かれる。いや、ジャパニーズだよ、と答えた瞬間笑顔に変わった。中国人が嫌われているのか、それとも日本人がいいカモなのか・・・トゥクトゥクを捕まえてSIMカードと言えば店に連れて行ってくれるよ。たぶんこう言われた気がしたので、トゥクトゥクを呼び止めて交渉する。SIM cardか、わかったよ!中年の運転手は親指を立てて出発した。道路が、町が、そして人のすべてが外国である。都市部なのにやたら砂が多いアスファルト、震度3くらいで倒れそうなカラフルな建物、よれよれだけどなぜか最高に似合うポロシャツの人たち。そんな中をガソリン臭いトゥクトゥクが走る。この時にはもうAirAsiaのあの苦痛は完全に忘れ去っていた。

着いたぜ!
たぶんこういうことなんだろう。何か言いながら運転手がトゥクトゥクを停める。
赤や緑の線、そして「7」の文字。

そう、我らがセブンイレブンである。

・・・マジでか。ジョークなのかマジなのか、それともおっちゃんの勘違いなのか。たしかに日本のセブンにはSIMカードは売ってない。ただプリペイド式のケータイは見たことがあるし、ウェブマネーだって一種の電子機器類だ。

タイならあるかもしれない。

若い店員に聞いてみる。英語は通じないがやはりSIMカードはわかるみたいだ。苦笑いしながら首を振る。この辺で売っている店がないか英語で聞く、タイ語は挨拶とお礼しかできない。

どうやら伝わったようで何か言ってくれている、タイ語だが。タイで限ったことではないと思うが、若い人たちはなんとなく英語を知っていることが多い。会話にならなくてもお互いの知っている単語を並べて、会話もどきができるのでトライしてみると案外通じたりするからおもしろい。

待っててくれ、今運転手を呼んでくる。

店を出て、煙草を吸っているおっちゃんに声をかける。
「俺が話をつける!」そう言ったか言わないかは謎だが、とにかくそんな勇ましい表情で店に入っていくおっちゃん。私は確信していた、おっちゃんが間違ってるパターンや。

2,3分して出てきたおっちゃんはすぐにエンジンをかけ、乗るようにジェスチャーしてくる。謝罪とかは一切ない、なんならこのまま俺に任せろとかいいそうな顔である。

なんて・・・なんてすがすがしい国なんだ。

その次に着いた場所はちゃんとしたケータイショップで「最初からここに来いよ」と正直思ったが、目的達成を目前にしてかなりの精神的余裕がある。親指を立てておっちゃんの健闘を称える。ここでSIMカードを入手し、タイ国内での通信方法を確立すれば、あとはお世話になる人が住むチェンダオという町にバスで向かうのみである。

詳しい資料はもらってないので具体的な数値はわからないが、タイでSIMカードを入手し、契約する場合は「期間」と「容量」がキーワードらしい。期間を過ぎて通信ができないわけではないが、かなりの超過金を取られるようだ。逆に容量は契約したものを超えても、厳しい通信制限が加わるだけでこちらは超過金がない。

こちらに住んでいる人の話を聞いてから旅程を改定するつもりだったから、期間を重視して一か月、6GBのものを購入した。6GBといったら相当な容量だが、撮った写真をクラウドにあげたり、カーナビにつかったり、ブログを書いたり、音楽を聴いたり・・・そんなこんなで結構な容量になりそうなので大きいものを選択。ちなみに1バーツは3.2円、日本円が盛り返してくれたので旅行者としてはかなり助かる。

ケータイを渡して設定してもらう。どこかのブログで読んだが、渡せば設定をすべて終わらせてくれるというのは本当だったのか。タイはいろんなものがテキトーだと聞いていたので、こういう事細かな対応はうれしい誤算である。

sかjpふぃjpうぃ

なんて言ってるかわからない。たぶん設定が終わりましたって感じなんだろう。お礼を言いながらケータイを受け取る。

一文字も読めない。言語設定がいじってあるらしく全部タイ語に変更されていた。見た瞬間「Oh…」って口から出ました、初日にしてかなり外国人化が進んでしまった。
ケータイを突き返して言語設定を変更するように頼む。これは相手も間違いだったらしく、すぐに直してくれた。日本語になって戻ってきた相棒に向かって喋る。

オッケー、グーグル!

不発である、つながらない。
店員がクスクスと笑っている。いやいや、お前らの仕事だからね、これは。

その後、一時間ほど格闘したが一向に開通しない。トゥクトゥクの運ちゃんにはSIMカードの契約後、チェンダオに向かうバス停まで同行する交渉をしていたが、どうやらもう帰るという。チップ出すよ!って言っても首を横に振るだけなのでもう仕方がない。

どこかもわからないケータイショップでひたすら空振りのやり取りが進む。ふいにケータイ屋のにーちゃんが私のものと別のもの、2台のケータイを渡してくる。片方の電話に出ると英語が聞こえてきた、これで安心である。指示に従ってケータイをいじれば無事開通するだろう。

「では、指示に従ってケータイを操作してください。まずメニューから通信設定を押してください。」

はいはい、オッケーよ、ねーちゃん。そのまま頼むよー!
「はい、そこになんと書いてありますか?上から読んでいってください」

あ、ムリ。それ無理ね。
通信環境の設定くらいならなんとか言えるけど、とてもじゃないけど全部はわからない。電子辞書はケータイでやるつもりだったから、いじろうとすると見えない。

今考えれば言語設定を英語に直してそのまま読めばよかったんだけど頭が回らなかった。
日本語ができる人をお願いしたら、どうやらいるらしい。

この人は本当に日本語ができる人で問題なく指示通りの操作ができたが、結局インターネットに接続することはできなかった。それでも何度か設定をしていると電話だけ開通したり、グーグルは使えないのにFacebookは使えたりできるようになる。

バスの最終が近い。電話が繋がればチェンダオの人に連絡ができるので、これで良しとしよう。ケータイの店員はやっと解放されたとばかりの笑顔だった。

「チェンダオに友人がいる。バス停があると聞いているんだが、ここから歩いていけるだろうか?」

とてもじゃない、という表情で頭を横に振る。英語はやっぱりわかるのかもしれない。でも、反ってくるのはタイ語なのでこっちは一切わからない。

見かねたにーちゃんが店の外に出て乗り合いバスを停める。交渉してくれて40バーツ前払いで連れて行ってもらえるらしい。なんだかんだで今日一番世話になった、サンキュー!

あとは簡単だった。バスのチケットを買って、運転手に地名を伝える。これで近くに着いたら声をかけてくれるに違いない。町の灯りが遠ざかっていき、縦に揺られる回数が増えた。真っ暗な道をサスペンションが死んでるんじゃないかと疑いたくなるほど揺られてバスが走る。誰も騒がないからこれがフツーなんだろう、二輪じゃないのケツが心配である。

 

IMGP0003

チェンマイを出発した直後のバスの車窓から見えた景色。暗い上に、動きも早いので思った通りに全然撮れない。旅の記録として残そうと思った。

 

IMGP0008

チェンダオに向かうバス社内。完全にサスペンションがやられているとしか思えない揺れ方だったが、車内は静まり返ったように静かだった。外が真っ暗でも、バスの湾曲した天井に映る景色は絶えず動いていて、万華鏡のようにぼーっと眺めているにはちょうどいい場所だった。

 

 

結局、夜の10時を過ぎてチェンダオの街に到着した。時間は日本からマイナス2時間、朝から換算すると18時間、ようやく着いたどー!

 

バス停でこれからお世話になる高橋さんという方とお会いする。緊張と疲労でひどい顔だったはずだが、フレンドリーに話をしてくれ、近くの飯屋に連れて行ってくれた。バーミーナムというラーメンのようなものを進められて食べる・・・うまい!これはうまいな!

 

東南アジアだとあまり食べないだろうと思ってきたが、これは太って帰りそうだな・・・

 

明日東南アジア周遊に使用するバイクの購入手続きを一緒に行う予定だ。

それでは!

 

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