みなさん、こんにちは。ちゃんと生きてます、宮下です。

 

一説には死亡説まで流れていた「道ヲ旅スル」でしたが、ギリギリちゃんと生きてましたね。

更新しない中でもサイトを除いてくださった方たちには本当に感謝です。私が年始に授かった大吉をお譲りしたい気分です。

 

何やってたのかというとさりげなく桜を追いかけて奈良まで行ったり、新緑を追って福島まで走ったりしてました。

 

そんで最近気づいたのが「そろそろ動き出さないと次の旅に間に合わない」ってこと・・・

次の旅ってのはヨーロッパ方面をバイクで走るってことなんですけど、その準備が本当にいろいろあって・・・・

余裕ぶっこいてたら危うくなってきましたが。それで今てんやわんや、と・・・

 

次の出発についてもいろいろ書きたいんだけどまずはアジア編を終わらせないと・・・

マレーシアのキナバル山から降りてきたところでしたね・・・・この後割と経たずに事故ったんですよ(爆)

とりあえず続きを書いていきます。

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感動のキナバル山に登頂したものの、下山後すぐにホテルでオーナーと揉め、そのままキナバルの街まで運よく帰ってくることができた次の日。

 

一晩早い便で街まで戻ったことで、本当に帰るフライトまで余裕ができたのでビーチが美しいという島の東部を目指すことにする。ゲストハウスで出会った日本人の女性が前日行ってきたというので間違いはないだろう。

さっそく近くの駅に向かうと、ミニバスの運転手にもみくちゃにされる。ミニバスは人数がそろったら出発!という方法なのでそれっぽい観光客がいると、獲物に群がるハイエナのように群がってくる。正直、こっちは誰でもいいので地名だけしゃべっていると運転手の一人に手を引かれバスまで連れていかれる。こういうちょっと強引なやつのほうが結果的に出発が早いので文句も言わず料金を支払ってミニバスに乗り込む。あとで女性ばかり4人が乗り込んでくるらしいことを運転手はニヤニヤしながら言った。

 

時々女性が車のそばを通りすぎる。マレーシアの女性は宗教的な理由で「トゥドゥン」(tudung)というスカーフのようなものを巻いているのだが、あれは暑くないんだろうか。窓が全開とはいえ体温近い気温の車中で私はすでにグロッキーな状態なので、他人のことを心配して気を紛らわす。そこから20分は経っただろうか、運転手は別のミニバスを指さして「あれに乗れ」みたいなことを言っている。どうやら女性陣の話は嘘だったらしい。

 

新しいミニバスはすでに満員で私が乗るとすぐに出発した。こちらはエアコンが効いていて割と快適である。ミニバスで隣になったFaizという青年と友達になった。これから向かう島の東部からさらにフェリーに乗って向かう離島の教師をしているらしい。同世代で気さくに話をしてくれる。マレーシアは年中暑いのだが勤務地は水が出たり出なかったりするところで今の仕事にやりがいは感じるが、正直やめたいとも話していた。ちなみに名前はムハンマドでみんなほぼ同じ名前らしい。びびるくらいの好青年だった。

 

彼と話しながらも車は周りが林しか見えないマレーシアの田舎道をひたすら走る。途中、東南アジアらしい商店が連なる一角で休憩を取ったりもした。商品が吊られて売られていたが暑さを避けるためなのかネズミによる被害を防ぐためなのかはわからなかった。

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そんなこんなで二時間半ほどかかってバス停に到着。Faizは気を効かせてホテルを何件か紹介してくれたあと、勤務地に向かうフェリーへ足早に向かっていった。急いでいたのにありがとう。

 

英語が全く通じないホテルになんとかチェックインし、さっそく件のビーチを探す。ちょっとワルそうなお兄ちゃん(英語が通じる)にビーチを聞くとめんどくさそうに名前と場所を教えてくれた。ここでセカンドオピニオンを取るべきだったのだが、ここに来るまでずいぶんいい人ばかりと接していたため、それを鵜呑みに行動してしまった。1時間ほど歩いたあと、教えてもらったのがビーチの名前ではなくリゾートホテルの名前だということが判明、気温は35度である。

 

あああああああ!!もうビーチなんてどうでもいい!!

という気持ちで海辺の店でコーラを飲む。なんか店に置いてあるテーブルや椅子の配色が昭和っぽい。

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おっさんと子供たちという不思議な組み合わせの連中がキャイキャイ言いながら遊んでいるのを細い目で見る。この気温でよくあんな元気に活動できるな・・・おっさんが近くに座り、挨拶をして話をしてみると20歳ということが判明、すまぬ。ビーチが見つからないと愚痴っているとそのビーチまでは車で40分もかかることがわかった。

 

そういえば宿で話してくれた女性は現地のガイドが休日を使って自家用車で案内してくれた、と言っていた。僕は正直美人ってズルいと思いましたね。

 

せっかく二時間もかけて来たのもあるのでこの青年を雇って現地に行けないか交渉。結果、この青年は無理だが、彼のおじさんがホテルの非番でそれなりのお礼を用意するなら連れて行ってくれるということになった。値段を聞けばタクシーよりははるかに安い、お世話になることにした。

 

彼の名前はゴージュ(ゴーデュ?)さん。彼はクアラルンプール市内の大学に通う息子を持つ、ホテルのマネージャーらしい。仕事もあってか、訛りが強いものの英語は通じるらしい。こっちがしゃべる英語もだいぶ適当なので意思の疎通がある程度でも取れるのはうれしい。

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早速、彼の車で出発しようとしたが、ガソリンスタンドに駐車したらエンジンがかからなくなった。乗り込んだ時から嫌な感じはしたが、そうとう年代物の車らしい。車内にキュルルルルル!という音が空しく響く。

しばらくすると「やっちゃったぜ!」みたいな顔でこちらを見る。

 

「タカ!後ろから車を押すんだ!」

 

こういうことをいい笑顔で言ってくる。そう、ここは日本じゃない。謝罪とかそういうのは全くない。

困ったらお互いさまなのだ。それにずいぶん助けられてここまで来た。

 

10mほど押すとキュルルルルルがドゥルン!に変わり、車が自走しはじめた(※軽自動車です)。

一瞬置いて行かれるかと思ったがそんなオチはなく、しっかりとシートベルトを締めるのを確認してから発進してくれた。

 

ビーチまでの道は舗装の状態が悪いだけでなく無数の野犬が闊歩していた。タイも含めて今まで走ってきたどの道よりも野犬が多く、歩きや自転車で通過するのは危険でとても無理だとゴージュは言っていた。ここで車が停まったら私が外に出て押さなければならなかったので心の中でひたすら軽自動車を応援した。

 

ビーチに着くころには、太陽が黄色がかっていてもう少しで夕方になろうかというところだった。ゴージュが案内してくれたのは入り江が見える展望台で、宿であった女性客から聞いた場所と違ったが、周りに多数の人がいたことからもここが有名なスポットであることは明白だった。

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ビーチ自体は人がいないわけではないものの散歩している数人が見受けられるだけだった。波は穏やかだったが時間も時間だったので閑散としていたのかもしれない。砂浜には珍しい岩山があって、夕日をまぶしく反射していた。近くで見たら、けっこうな迫力かもしれない。

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展望台を少し降りて海に近づく。聞いていた白いビーチにはたどり着かなかったもののここでしか見れない景色もあるんだろう、と思い景色を眺める。空のグラデーションって不思議だよなぁ。

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似たような場所でもレンズを変えると画が全然違う。今日もまた一日が終わってしまうな。

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最後、林の中から沈む夕日。この旅であと何回夕日を見れるのだろうか。センチメンタルな気分だけじゃなくエコノミックな観点からもちょっとずつ気になり始めた。

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帰りは幸いにして軽自動車のエンジンがキーを数回回すだけでかかったので、笑顔ホクホクでドライブ。ホテルの前につけてもらいゴージュにお礼を言う。

 

「タカ、良い旅を」

ゴージュのかっこいい決め台詞のあとにちゃんとエンジンがかかって結構安心した。このセリフのあとに軽自動車を押したくなかったためだ。

 

翌日は五日間いたボルネオ島(コタキナバル島)を離れ、バイクの置いてあるクアラルンプールに戻った。ビックリするほどスムーズで特筆すべきこともないので割愛。たった五日だけだったがバイク(というか自家用車)のない旅は不便さを強く感じた。っていうか、バイクが便利すぎるだけなんだが・・・いい意味でバイクから離れることができた数日間だった。

 

シンガポールへ行っている時間はないのでクアラルンプールを出て再びタイを目指す。来た道を戻るというのもつまらないので本島の東部を廻って北上することにした。

 

久しぶりのバイクにテンションが上がって無駄なものも撮ってしまう。これは途中で見つけた名前も知らない川。テレビで見たナイル川みたいな色をしていた。大陸特有の茶褐色の土が混じるとこういう色になるんだろうか・・

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高地を走っているときには遠望に巨大な岩山を見た。書店に行けば「世界の絶景」という本をゴマンと見るが、それでも語りつくせないほどの絶景が世界にはたくさんある。旅をする意義はそこかしこに転がっていいる。

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途中イスラム教徒っぽい青年に声をかけられた。バイクで走行中にである。最初は荷物が落ちかけているとかそんな理由かと思って近くに停車すると彼もバイクを路肩に寄せた。

 

普段なら身構えるが、そんなことも考えさせないくらい柔和な人物である。

 

英語じゃない言葉(たぶんマレーシア語)ですさまじく丁寧に話しかけてくる。

人生初の感覚だが、たぶん間違いない。

 

 

俺、今崇(あが)められてる。

 

たぶん勘違いとかじゃない。だって、正面から祈ってくるし。

 

聞いたことがある、旅人に神様が宿ると信じる教えがあるらしい。

たぶんソレや・・・

 

彼は荷物の中からグレープフルーツを取り出すと手渡してくる。

いやいや、もらえないって!うがった言い方をすればいらないって!

 

それでもめちゃくちゃ強引に持たせてくるので受け取ることにした。

そのあとまたこの表情である。

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呪文というかお経というか、そういったものを一通り唱えたあと彼は不思議な祈りのポーズをして去っていった。

 

この出来事だけで海外に来てよかった。私は本や見分で見知った知識ではなく、実体験として体感しましたね。

 

思想の違う人間がいる、ということを。

 

それは自分が生活する範疇で思いもよらない悪行がどうとかいうことではなく、自身が信じる善の世界で全く違う価値観があるという事実。衝撃だったよね、全く知らない人に感謝や尊敬のこもった気持ちをあれほど正面から出せる人間がいるということ。いたく感動しました。感動を通り越して衝撃を受けました。

 

あ、あとどうでもいいけど俺グレープフルーツ嫌いなんだよね。

 

そんなことを考えながらバイクを走らせるとどうも道がおかしい。渡り終えてから全景を見るとどうやら氾濫した川に橋が流されてしまったようだった。

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本来の道から見た景色。高さもそれなりにあって下をのぞき込むとスリルがあった。仮設の道路がしっかりしていて走行に心配はないが、また大雨が降ったらそれも使えなくなりそうだ。

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そういう出来事もあって、さきほどの敬虔な信者の人はお祈りをしていたのかな?とも思う。強度の高い衝撃を受けると、起こることすべてをそれに関連付けてしまうな。

 

それでも道は続いていく。再び高地に出たときには遠方に見慣れぬ色の土肌をした山がいくつも広がっていた。

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何も絶景は遠方だけではない。走っていたらひたすら視界に広がるプランテーションの道もここでしか見ることができない絶景だ。なんとなく普段見ている景色もそこを訪れることが少ない人間にとってはとても貴重な絶景かもしれない。

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時折抜ける山間部から見える景色は立体感がある。あの山も名前があって、その頂上から息をのむような景色を見た人がいるんだろうな。

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そして夕日が落ちてきたころだった。クアラルンプールを出てからの一日の出来事みたいな書き方をしているが実際は二日三日かかってここまで来ている。もうじきバタワースの街に到着できそうだ。

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バタワースに着けばこういった景色は見られない。タイに戻るまではよく舗装された近代的な快走路を行くことになる。名残惜しいような、やっとここまで来たような、そんな気分で道を進む。

 

バタワース近郊になると進んでいた道は高速道路に接続していた。マレーシアの高速道路はバイクが無料なので気兼ねなく乗る。以前、日記にも乗せたが料金所を迂回する形のバイク専用レーンが存在する。

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この迂回路は経験上、料金所の付近にしかないものと思っていたが、この日走っていた場所ではこの迂回路が延々と続く。正確に言うと、バイク専用レーンだけが車道と切り離された状態でひたすら並走していた。違和感を感じつつも、走りやすさからだいぶスピードが出ていたと思う。

 

途中車をぴたりとつけられて家族連れらしき人たちがこっちに向かって何か言っている。

 

でも、聞き取れない。マレーシア語だろうか。

「英語で言って!」

こちらも叫ぶが言葉は一向にわからない。そのうち前を指さすようなジェスチャーを見せた。

 

次の瞬間、道路の出っ張りが飛び込んできた。

慌ててブレーキをするも速度は落ち切らずに出っ張りに乗り上げてジャンプ!

 

時間が停まる感覚とかそういうのは一切なく、着地とほぼ同時に転倒しました。

 

「そうか・・・あれを知らせるために言ってくれてたのか・・・」

スピード出しすぎとかそんなところだろうか。

 

東南アジアの道路には出っ張りが存在する。目的は車の速度を落とすためで、日本の停止線と似たような仕事をしている。しかしながら、停止線と大きく違うのは速度を落とさないと実害があるということだ。ちょうど今しがた吹っ飛んだ私がいい例である。

 

完全に油断していた。気温もあって長袖も着ず、ビーチサンダルで転んでしまった。バイクに乗らない人でも自転車に乗っていればアスファルトに投げ出された後のことは大体予想がつくだろう。

 

ただ、これは完全に勘になるが、今回の店頭で骨はやられていないと確信していた。道路の上を滑っただけで幸いバイクに挟まれたわけでもなく、地面にたたきつけられたわけでもない。なんとか立ち上がってバイクを寄せようとしていると後続からのバイクが停まって心配してくれる。その中にSuaidという男性がいた。英語が話せる彼は停まった数人と話をしてどうやら私を近くの病院まで連れて行ってくれるらしい。本当にありがたいし申し訳ない。

 

「傷はどうだ?」

引きずっただけで骨に異常はないと伝えると、顔をゆがませて傷を確認してくる。

「たしかに骨は見えてないな、強烈な痛みがなければ折れてはいないだろう」

みたいなことを言っていた気がする。擦過傷でずいぶん痛いがそこまで強烈ではない。

 

体の傷を確認した後はバイクを見る。ヤバイ、エンジンからオイルが漏れている。

そこでSuaidは質問してきた。

「すまないが私も用事があってそれほど一緒にいられるわけではない。病院かバイク、どちらか付き合おう。どっちにする?」

 

身体ももちろん大事だが、バイクが動かなくなればその後の行動が大きく制限されてしまう。日も暮れはじめ、時間的に余裕もなかった。しかもこのとき手持ちの金はそれほどなく、周辺のATMで新しいお金をおろせるかは謎だった。

 

「バイク屋を紹介してくれ、バイクが治れば自分で病院に行く」

Suaidは何件かバイク屋を紹介してくれたが、どこの店主も首を横に振った。バイクがタイ製だったためだ。外国のバイクは仕様が違うので直せるかわからない、という理由で突っぱねられた。バイク屋を移動する度にエンジンから白煙が上がる、エンジンオイルが完全に切れて、シリンダーが内壁と溶着すればエンジンを換装しなくてはならない大事である。それでもSuaidは粘り強くバイク屋を廻ってくれ、ついに「やってみよう」というバイク屋が見つかった。予算がこころもとないことを伝えると、それでもいいと言ってくれた。私の知る限り、持っているカードでお金をおろせるのは400km離れたクアラルンプール空港だけなので藁にも縋る思いだった。翌日に取りに来るように言われ、バイクを預けた。

 

「バイクは預けた、これからどうするんだ?」

タクシーを捕まえてホテルを探すと伝えると、Suaidはバイク屋となにか話していた。

「ホテルまでタクシーは結構な金がかかる。目的地の途中にあるホテルなら乗せていこう」

 

もうね、やさしさに涙が出そうになりました。世話になってる自分の情けなさにも。

 

それっぽい看板を見つけては宿が空いているか聞く。チャイニーズニューイヤーでいろんなホテルが満室の中、バリバリのマレーシア人の安宿を発見。

 

一言目が「お前中国人か?」

でしたが、違うとわかるとすぐに部屋を用意してくれました。いろいろあるんだろうな・・・・

 

Suaidに何度もお礼を言って彼と別れる。ちなみに彼は日本に帰ってからもメッセージをくれました。

普通に恩人です。

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シャワーを浴びて傷口を洗おうとしたらシャワー室にゴキブリが五匹もいたのでミネラルウォーターを買ってくることに。病院は値段が気になったので近くの薬局でオキシドールを入手することにしました。

 

たまたまホテルを見つけた場所がチャイナタウンの近くで薬局はすぐに見つかりました。薬剤師は大学でしっかりとした英語教育を受けていると聞いていたので相談に乗ってもらえると期待して来店。転んだこと、骨にはたぶん異常がないこと、お金が全然ないのでオキシドールをできれば量り売りしてほしいことを伝えると店主は笑顔で消毒やしたり包帯を巻いてくれました。

 

「いやいや、お金ないんだって!」

というと

「チャイニーズニューイヤーだからこれはお祝いだよ」

といって丁寧に施術してくれました。

 

助けられてばっかだな・・・

 

どこかを訪れるたびに「〇〇人」って言葉で人を括るけど、本当はそんなの関係ないんだよな。

立派な人が立派ってだけで。考えるのを終わらせる意味で〇〇人は~って結論つけたがるけど、それって全然本質じゃないよね。

 

ホテルに帰ってベッドを調べる。南京虫とかはいないみたいだ。

wifiもつながらないし、今日は早く寝てしまおう。

 

自身の油断とか見知らぬ街での人のやさしさとかそれに対する感謝を忘れないために写真を撮ってその日は床に就いた。

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いつかこの恩も誰かに返せる人間にならなければ。