カテゴリー: Northern Europe

【Episode】 Say moimoi -サヨナラと言ってくれ-

北欧最後の地、フィンランド。

北欧にはファンタジー感あふれる童話が数多く伝わっている。

ここフィンランドは日本でもおなじみムーミンの故郷。

 

そんなファンシーなお国柄のこの国について、

ワタクシ大変興味深い情報を仕入れておりました。

 

 

それはですね、老若男女が別れ際に

モイモイ」と言うらしいということです。

 

モイモイだよ?モイモイ

 

( *´艸`) 可愛くないですか?

 

これ、子供だけじゃなくておじいちゃんやおばあちゃんも使うってことですよ。

素晴らしい!ぜひ生で「モイモイ」を聞いてみたい!

 

言ってほしい!どうか「さようなら」とフィンランド語で言ってほしい!

 

お隣スウェーデンの首都ストックホルムからこの国にフェリーで上陸したとき、最初っから人が優しかったんです。

 

フェリーから降りて公道に出るまでに交通整理をしてるおばちゃんがいたんですけどね。

 

ニコニコと笑顔で近づいてきて 

「遠くから来たんでしょ?フィンランドへようこそ!」って。

 

Welcomeだけじゃないんですけど文字で書いてあっても何も感じないのに、人から言われるとすごくうれしい言葉ってのはたくさんあるんですよね。

 

フィンランド入ってまだ30秒くらいですよ?

すでに人のやさしさが溢れてる。

 

もうね、私は思いましたよ。

 

これは期待しちゃうぞ☆

たくさんの「モイモイ」集めちゃうぞ☆

ってね。

 

そんな感じで始まったフィンランド観光もですね

 

もう終盤

 

だってもう、ロシアとの国境付近だからね。

グーグルマップにピン打ち込ませたら境界線に刺さるんじゃねーかくらいのところですよ。

 

ここまでに集めた「モイモイの数」

 

%e3%83%96%e3%83%ad%e3%82%b02

 

無だよね、漢字にすると。

いや、漢字にする意味もないんだけどさ。

 

なんで!?

フィンランド人はやさしくないの!?

最初のフェリー降りたところにいたおばちゃんがやさしさの平均値を一人でひっぱりあげてただけだったの!?

 

いやいや、まったくそんなことはないんですよ。

 

これがみんな、本当に優しいの。

デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、これら北欧の地を巡って他国の評価を聞くと人が一番やさしいのは「ノルウェー」ってのが定説でした。

 

みんな言うよね。ノルウェー人はマジでやさしいよって。

お前ノルウェー行ったらきっとビックリするよって。

 

けどね、あなた方もすさまじいやさしさですよ?

そしてもちろんフィンランド人もみんな優しいですよ。

 

だってダークな部分とかまったく見えないもん。

心の闇って何?それより市場で買ったサーモン食べる?みたいな。

 

でも、そのやさしさからみんな俺に合わせて

英語を使ってくるんだ・・・

 

「Have a nice day, trip!(良い一日を!良い旅を!)」

「Take care!(元気でね!)」

「You can make it!(君ならできるさ!)」

「I hope you xxxxx(君の旅の無事を・・・略)」

 

あああああああああああああああああああああああああああ

 

うん、嬉しいよね。

嬉しいけど・・・

 

俺が聞きたいのはそれじゃないんだよおおおおおおおおおおおおおおおお

 

あんまりにも言わないから一度Googleで調べなおしましたよ。

 

「モイモイ」ってフィンランド語で「さようなら」ってことと、俺が今いる国がフィンランドだってことをね・・・

 

でも、ソレを確信するタイミングはありました。

 

あれは首都ヘルシンキでテンペリアウキオ教会という場所を目指していたときのこと。

 

大きな交差点で多くの人が行きかう中、中年の女性二人がまさにバッタリ出会ったようで笑顔で2,3言交わした後、こう言ったんですよ。

 

モイモーイ」と。

 

俺が夢見たモイモイ共和国はフィンランドで間違いねええええええええええええええ!!

 

やるっきゃねえ!ここでやるっきゃねえんだって!

 

まぁ、手段を選ばなければいくらでも言ってもらえるんですけどね。

英語通じるんだから。

 

「Do you ask me for a favor…(お願いがあるんだけど)」

「Say moi-moi(モイモイって言ってくれ)」

 

 

いや、これは直接的すぎるけどさ、

「ちょっと聞いたんだけどフィンランドのさよならってモイモイなの?発音あってる?」みたいに聞けばきっと声に出してくれますよ、親切だからね。

 

 

でも、これで一体何が得られるというのか?

 

例え「言わせたモイモイ」が1000個集まろうとも「言われたモイモイ」1つに遠く及ばないだろう。

 

そんな作られたモイモイなど本物ではない。

 

俺が本当に欲しいのは「本物のモイモイ」

 

そう、つまりは「萌い萌い」に他ならないのだ!(←熱弁)

 

 

で、そんなこんなで一回もモイモイと言ってもらえずに気づいたらフィンランドに住む最後のフィンランド人と対面してるってわけ。

 

彼はフィンランド-ロシア国境のフィンランド側担当官で俺のパスポートに出国スタンプを押すお仕事中。

 

この人は俺とそう歳の変わらないであろう男性なんだけどビビるほどの鉄面皮で会話をしても眉一つ動かさない。

 

国境を担当する審査官としては100点なんだろうけど、今までフィンランドの人のやさしさにドブ漬けだったから、その冷たさというか機械的な感じにビビりましたね。

 

知らぬ間にフィンランドの出国をすっ飛ばして、ロシア入国の手続きが始まったかと錯覚しそうになるくらい、マジで。

 

 

そんな彼も質問に答えていくと声の調子は穏やかになってくる。まぁ、東洋人が自家用車に乗って出国するなんてのはよっぽど稀だろうし、怪しいと感じるのは当然のはずだ。ひょっとして本当は表情豊かでいいやつなのかもしれない。

 

 

「バイクのパスポートは?」

 

ここに来てイミグレだけでなくカスタムも兼ねていることを知る(イミグレは人の出入国の管理、カスタムは車の出入国の管理を担当)。

 

マジかよ、バイクに入れたまんまだよ~みたいなことを言ったら「待ってるから取ってこい」とのこと。

 

待ってるってのは文字通りの意味で俺の次に並んでたおじさんの処理を進めないってこと。後ろのおじさんに謝って書類を取りに行く。

 

おじさんはニコニコしながら「いいよいいよ」と言ってくれた。

いや~、申し訳ない。でも、やっぱりフィンランド人はやさしいですな。

 

書類をもって再び審査官とやりとり。車体番号やナンバープレートを入力しながら旅のエピソードやこれからの計画を聞いてくる。

 

あれ、ちょっとフレンドリーになってない?

 

思えばここまで一人たりともモイモイとは言ってくれなかった。

 

 

もちろんこちらとて指をくわえて待っていたわけではない。

相手も気兼ねなく言えるようにと逆にこちらから「モイモイ」と言っていた。

 

つまり外人の俺が「モイモイ」と言い、フィンランド人が「グッバイ」という理想と逆の構図ばかりが生まれては街の雑踏に消えていったのだ。

 

人の夢と書いて儚い。

モイモイ共和国の夢はこうも儚いものなのか。

 

でも、今目の前に、フィンランド人最後の砦がいるではないか!

 

 

これは期待できるか?

いや、もうそういう次元の話じゃない。

 

これは賭けるしかない。

 

言ってくれ!頼む!俺にモイモイと言ってくれ!

 

一通りの処理を終え、審査官はスタンプを押す。

喋らせない、任せたらコイツは必ず英語を使ってくる。

 

 

だから先手はこちらが取る!!

 

 

俺「モイモーイ!」

  

審査官「Here, we go! (さあ、行け!)」

 

 

 

 おおおおおおおおい!

ここに来て英語の新バージョンが追加されましたね。

 

ガチャガチャのコンプ一個手前で隠しキャラが出てきた気分。

 

ああ・・・あなたがフィンランド、いや、モイモイ共和国最後の砦だったのに・・・

 

 

別れ際、ふと振り返ると待たせていたおじさんがかすかに微笑んでこちらを見ていた。

 

 

いた!

まだいたよ!

 

フィンランド人が!

 

 

あなたこそ、ファイナル・オブ・ザ・フィンランド!

日本に来た外国人からするとあなたこそラスト・サムライ!

 

さぁ、聞かせてくれ!モイモイと聞かせておくれ!

 

俺「モイモーイ(ニコッ)

 

おじさんはニコリと笑い、口を開いた。

  

 

 「グッバイ」

 

 

 

あぁああぁああぁあああ!

 

言えやぁあああぁああ!

 

そこで言えやああああぁあぁああっぁあああぁああ!!

 

いや~、現実ってのはうまくいかないもんですね。

俺が主人公だったらちゃんとここは「モイモイ」だったんでしょうけど・・・残念だ。

 

結構いろんな人と仲良くなったんだけどなぁ。

 

 

余談ですがこのあとロシアの入国審査で3時間かかりました。

尋問室みたいなところまで行きましたからね。

 

まあ、それは後日ということで。

 

 

それじゃ、みんな!

 

モイモーイ!(偽物)

日本人はなぜ「さようなら」と別れるのか (ちくま新書)

6 Comments EuropeNorthern Europe